ドイツ代表の合宿に参加していたアントニオ・リュディガー選手が右ひざ前十字靭帯を断裂したというニュースは移籍市場にも大きな影響を与えることでしょう。
所属チームであるローマはもちろんのこと、その影響はユベントスに波及することも十分に考えられるからです。
リュディガー選手は昨夏にシュトゥットガルトから買取オプション付きローン移籍という形でローマに加入しました。
レンタル料400万ユーロ、買取による移籍金900万ユーロ、ボーナス50万ユーロの合計1350万ユーロをシュトゥットガルトに支払う形で獲得したのですが、ローマは UEFA からファイナンシャルフェアプレーによる監視対象となっているため、選手の売却などで財政面を改善させる必要があったのです。
ローマはリュディガー選手をチェルシーなどに2500万ユーロほどで売却し、その差額でクラブに利益をもたらそうとしていました。しかし、6ヶ月と見積もられる負傷期間を無視して、獲得に乗り出すクラブはいないでしょう。
UEFA の規則を無視すると、最悪の場合は大会資格を剥奪されることになります。大きな収益源であるチャンピオンズリーグの出場資格を失う訳にはいきませんから、財政面で UEFA から指摘された問題をクリアしておかなければなりません。
つまり、リュディガー選手の売却以外で利益を出さなければならない状況にローマは追い込まれたのです。
ピアニッチかナインゴランの売却
ローマの所属選手で引き抜きによって多額の移籍金をクラブに残せる可能性が高い選手はピアニッチ選手とナインゴラン選手の2選手です。
リュディガー選手の転売による差額益で財政面を改善するプランは機能しなくなったのですから、“現金化できる選手に対する引き止め” が少なくなり、獲得が噂されたクラブへの売り込みが行われることが予想されます。
ピアニッチ選手の獲得に興味を示しているクラブの1つがユベントスなのですが、ローマの財政面を考えると獲得のチャンスが増えたと言えるでしょう。
センターバックの補強
レギュラーとしてプレーしていたリュディガー選手が負傷したことにより、2016/17 シーズン前半戦をプレーできないことを考えると、ローマがCBの獲得に本腰を入れてくることになるはずです。
ユベントスはバイエルンに所属するメディ・ベナティア選手を買取オプション付きのローン移籍で狙っていますが、そこにローマが参戦してくる可能性は十分にあるでしょう。
ただ、バイエルンへ移籍した際にローマのフロント陣との関係が悪化した経緯がありますので、現在の関係性がどうなっているかが大きな注目点です。レギュラーポジションを用意し、ローマ側が “詫び” を入れることで争奪戦を起こすことなくベナティア選手を獲得できる確率は軽視できないと言えるでしょう。
チームの主力選手が思わぬ形で負傷すると補強戦略の優先度が激変する可能性が大いに存在します。
補強担当者は怪我をせずにクラブに戻ってきて欲しいと願っていることでしょう。代表戦のネガティブな一面である負傷は限りなく少なくなって欲しいと思います。