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マンジュキッチに対する罵倒問題:連盟は“目を背け”、デ・ロッシは表面上の謝罪

 セリエ第21節のユベントス対ローマ戦の最中に物議を醸したローマのデ・ロッシ選手による “差別発言疑惑” ですが、収束する気配を見せています。

画像:マンジュキッチとデ・ロッシ
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 問題の発端は前半30分過ぎに発生しました。

 左サイトに流れたマンジュキッチ選手がマークについて来たデ・ロッシ選手とボールを競り合った時、主審の笛がなります。

 マンジュキッチ選手の右腕に当たったとバンティ主審は判定したのですが、コーナーフラッグ付近にあるカメラからはデ・ロッシ選手の左腕にも当たっているように見えます。マンジュキッチ選手はそれを審判に抗議していたのですが、これが問題のシーンへとつながったのです。

 

 ボールを競り合っていた当事者の1人が審判の判定に不満を示しているのですから、カメラは当然、“もう一方の当事者” を追いかけます。

 そこで高画質の画面にデカデカと映し出されたデ・ロッシ選手は "Stai muto, zingaro di merda" と読み取れる口の動きを見せていたことから、問題は中継したテレビ局を筆頭に拡大することとなりました。

Stai muto Shut up 黙れ
zingaro gypsy ジプシー
〜 di merda f**king 〜 クソ 〜

 

 試合終了後の記者会見でこの件に対するコメントを求められたスパレッティ監督は「マンジュキッチは10分間に渡り、私達全員を侮辱していた」や「ピッチ上では良くあることでデ・ロッシには口を抑えて発言するようアドバイスする」と発言自体を問題視しない姿勢を示してました。

 この発言も、試合全体を見れば非常に滑稽なものです。

 前半9分にボールと何も関係のないところで、デ・ロッシ選手がマンジュキッチ選手を踏みつけ、イエローカードが出されたことを都合良く忘れ過ぎです。エスカレートする要因になった可能性が高い自分たちの選手の振る舞いを棚に上げた対応は如何なものかと思われます。

 

 ローマ、デ・ロッシ選手、連盟にとって幸運だったのはマンジュキッチ選手が極端な “メディア嫌い” なことでしょう。なぜなら、被害者の立場にある人物が騒ぎ立てて、問題が拡大することがないからです。

 サッカー連盟は「ビデオ審議の対象外」として、この問題を門前払いにしました。スポンサーを呼び込むという点ではこの対応は非常にマズいものです。

 「審議の上、証拠不十分により処分なし」であれば、差別等の問題に取り組んでいることへ証明となりますが、門前払いをしてしまっては黙認していることと同じと見なされるからです。これでは多額のスポンサー料を払える企業は別のリーグに資金を回す要因になり得ることと言えるでしょう。

 デ・ロッシ選手は「口にすべきでないフレーズを言っているシーンを映された。初めてのことではないし、ピッチ上では互いに飛び交ってます。発言を不快に思った人には謝罪します」と深刻に捉えていません。

 

 ちなみに、デ・ロッシ選手がピッチ上の発言で問題を起こしたことは今回が初めてではありません。2007年2月にチャンピオンズリーグ、ローマ対リヨン戦でエリック・アビダル選手に対して "negro di merda" と発言し、謝罪することになりました。

 「トッティやデ・ロッシといった重鎮選手の発言には黙って耳を傾けるべき」という声も一部であるようですが、差別発言や暴言/罵倒にまで耳を傾ける必要はないでしょう。一律のルールに基づき、必要な処分を下すことができるかがカルチョ復権には不可欠だと言えるのではないでしょうか。

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