リーグ戦12試合を終え、各チームの明暗がはっきり分かれました。ユベントスは徐々に成績が上向いているとは言え、5勝3分4敗(勝点18)の7位と波に乗り切れていません。
戦績から問題点を洗い出すことにしましょう。
順位 | チーム名 | 勝点 | 勝敗表 | 得点 | 失点 |
---|---|---|---|---|---|
1 | キエーボ | 6 | 2W | 7 | 1 |
1 | インテル・ミラノ | 6 | 2W | 3 | 1 |
1 | パレルモ | 6 | 2W | 2 | 0 |
1 | サッスオーロ | 6 | 2W | 3 | 1 |
1 | トリノ | 6 | 2W | 5 | 2 |
16 | ユベントス | 0 | 2L | 1 | 3 |
開幕2試合は連敗という最悪のスタートを切りました。ただ、2節がローマ戦だったこともあり、このアウェーでの1敗は許容されるでしょう。
問題は「チームとしての形が全くなかったこと」でしょう。ウディネーゼ戦は4バックで前線から積極的にプレスをかける形でしたが、ローマ戦では3バックで自陣内に立てこもる形でした。
“攻撃の核” として大車輪の活躍をしたテベス選手が離脱したことが大きく響いた開幕2戦だったと言える出来で9月の代表戦ウィークを迎えることになりました。
立て直しを計りたいユベントスですが、9月の代表戦明けから10月の代表戦まででも不安定な戦いが続きます。
順位 | チーム名 | 勝点 | 勝敗表 | 得点 | 失点 |
---|---|---|---|---|---|
1 | フィオレンティーナ | 15 | 5W | 11 | 1 |
2 | ラツィオ | 12 | 4W-1L | 8 | 6 |
3 | ナポリ | 11 | 3W-2D | 13 | 3 |
4 | インテル・ミラノ | 10 | 3W-1D-1L | 5 | 5 |
4 | ASローマ | 10 | 3W-1D-1L | 14 | 7 |
6 | ユベントス | 8 | 2W-2D-1L | 8 | 5 |
この期間で絶好調だったのは現在リーグ首位に立つフィオレンティーナ。5試合5連勝(11得点1失点)で勝ち点を大きく伸ばすことに成功します。他にもチームとしての戦い方を明確に打ち出したインテル、ナポリ、ローマが順調に勝ち点を稼いでることも特徴です。
ユベントスは1試合ごとに4バックと3バックが入れ替わり、どのシステムを軸に戦うのかが定まらない手探り期間が続きます。
この期間での1敗はアウェーでのナポリ戦でしたから、こちらもメディアが問題視する要因にはなりません。むしろ、ホームでキエーボとフロジノーネといった中堅チームに引き分けを演じたことで、テベス選手加入以前の FW による得点力不足が深刻化していることが表面化することになりました。
このチーム成績ではアッレグリ監督の解任論が噴出して当然と言わなければならないレベルでしょう。
10月の代表戦明けからはサッスオーロ戦で足をすくわれたとは言え、チーム状態が上向きにつつあることが結果としても現れます。
順位 | チーム名 | 勝点 | 勝敗表 | 得点 | 失点 |
---|---|---|---|---|---|
1 | ナポリ | 13 | 4W-1D | 6 | 1 |
2 | ASローマ | 12 | 4W-1L | 10 | 4 |
4 | ACミラン | 11 | 3W-2D | 7 | 3 |
4 | インテル・ミラノ | 11 | 3W-2D | 4 | 1 |
5 | ユベントス | 10 | 3W-1D-1L | 7 | 3 |
最も勝ち点を稼いだチームから3ポイント離されただけですから、かなり改善されたと言えるでしょう。ケディラ選手が出場した試合では無敗ですので、効果は如実に出ていると現地でも評価されています。
チームとして、最も良い戦いだったのは第9節のアタランタ戦でしょう。ペレイラ選手とトップ下に入れた4バックで、ディバラ選手も組み立てに参加し、昨シーズンの出来を彷彿とさせる内容の試合でした。ですが、ペレイラ選手が負傷してしまっている中では、このフォーメーションは使えません。
攻撃陣としての課題はテベス選手のポストプレーとピルロ選手のロングパスが両方とも無くなったことでしょう。
ボールを失わない “預け先” がなくなれば、代わりを探すための時間が必要になります。その上、今シーズンは(DFの裏への)ロングパスという選択肢を除外できるのですから、ハイプレスをかけ、ユベントスの中盤から後ろでミスを誘発し、ショートカウンターを狙うことはお決まりになっているのです。
3トップで起用される FW はいずれも相手 DF を背負った形でプレーすることが多く、裏のスペースへのパスの要求もなければ、中盤からボールを引き出すために下りて来ることもありません。『個』に頼った打開にすべてを丸投げしているのですから、連携面で円熟することが望めず、相手にブロックを固められるとチャンスを生むことすらできなくなる傾向があります。
DF ラインを高めに設定するチームとの対戦なら、この3トップによる戦い方を継続する意味はあるでしょう。ですが、相手チームの分析が進んだ現状では、高い DF ラインを90分間保つような戦い方をしてくるチームはセリエAではまずあり得ません。
試合序盤のハイプレスと高いライン設定はあり得ることですが、リードした段階や引き分け狙いを決めた時点でブロックを固めることを躊躇なく選択することが予想されるからです。
ユベントスがチャンピオンズリーグ出場権を得られる3位以内に浮上するには、勝ち点でユベントスより上位にいて、引き分けでも OK と割り切り、ブロックを固めることができる守備力を持ったチームから勝ち点3を獲得できるかが鍵です。その鍵を持った選手やフォーメーションを見つけるまでは茨の道を歩み続けることを強いられると言えるでしょう。