セリエAの開幕6試合を終え、ユベントスは1勝2分3敗と前年度王者の面影はどこにもない。
年間を通して見れば、何試合かは引き分けたり、負けたりするだろう。だが、2015/16 シーズンここまでの戦いは失望させられるばかりの内容ばかりであった。
監督やフロント陣から発せられる楽観的なコメントを受け入れ続けるファンは日に日に減少している。それらのコメントが持つ問題部分を指摘しておこう。
『10人の新加入選手を抱えている』
新加入選手がチームにフィットしなかった時の定番フレーズである。チームに馴染むには個人差があるため、ある程度までは大目に見られるだろう。
だが、同じく新加入選手が先発の過半数を占めるインテルが開幕5連勝を飾っている事実を重く見る必要がある。
「1-0 が多く退屈」と批判の声が上がっているが、プロビンチャのチームを相手に勝ち切っている。何がインテルとの差を生むことになったのかを近々言及しなければならない。
『若手選手が多く、経験を積む必要がある』
確かにユベントスは今シーズン、急速な若返りが行われた。
厳しい試合を戦い抜いた経験が乏しい選手が増えれば、“したたかさ” は失われるだろう。だが、チームとしてやるべきことの優先順位を明確にできていれば、一定水準は保てるはずだ。
夏の移籍市場で最優先で獲得に動いたオスカルは24歳。若手選手を中心に補強戦略を実行していたのだから、チーム状態が向上しない理由とすべきでないことは明らかだ。
また、ジョレンテなど経験豊富な選手を放出したのもチームの方針だったではないか。セビージャ戦で強烈な “恩返し” をされないことを祈るばかりである。
『アッレグリの信念とともにある』
マロッタはアッレグリの何に期待を寄せているのだろうか。今シーズンのアッレグリ采配は散々な内容ばかりだ。
勝負強さは消え、攻撃は単発な個人技に終始し、攻守両面での連携も消え失せた。アッレグリが目指したいサッカーの形が見えないため、チームとしての脅威は皆無だ。これではユースチームのグロッソが率いたとしても同じ結果を得られるだろう。
フロジノーネ戦で CK を許したのも、同じ状況がマンチェスター・シティ戦で同じようなことが起きていたにも関わらず、改善できていなかったことが問題である。どちらもクアドラードが関係していたが、チームをマネジメントできているかに疑問符が残る。
ヨーロッパのトップクラブで目立った実績のないクアドラードを “駒” として扱えないのであれば、アッレグリの手腕には限界があると言わざるを得ないものだ。
ローマとナポリにアウェーで敗れたことは問題ではない。チャンピオンズリーグに出場するクラスのチームを相手にアウェーで 2-1 なのだから、よく戦ったと言える結果だ。
だが、ホームでプロビンチャのチームを相手に3試合を戦った結果、獲得した勝ち点が『2』であることが大問題なのである。
新加入や若手が多く、結果はすぐに求めるのは間違っていると主張する声もあるだろう。しかし、ユベントスは引き抜く側のチームであり、毎年選手を引き抜かれる側のプロビンチャ・クラブをホームに迎えて結果が伴わなければ問題視されるのは当然のことだ。
アッレグリを続投させるための条件は「セビージャ戦とボローニャ戦をクリーンシートで2連勝すること」だ。このミッションができなければ、解任に踏み切らなければならない。
後任にはユルゲン・クロップかパオロ・モンテーロが望ましい。前者は前線からプレスをかけるスタイルで、泥臭く走り回るクラブのスタイルと合致しやすいだろう。また、若手選手を上手く育てつつ、結果を出した実績もある。後者はユベントスでのプレー経験があり、チームに戦う意志を持ち込んでくれることが期待される。
3勝1分2敗(勝ち点:10)で「シーズンはまだ長い、クリスマスまでに良いバランスを見つけ、挽回して行きたい」とコメントすることと、今の成績1勝2分3敗(勝ち点:5)で同じ内容を言うことの間には雲泥の差があることをユベントスの監督・選手は自覚しなければならない。それができなければ、来シーズンはヨーロッパの舞台に立つことすらできなくなるだろう。