絶不調の状態下で行われた 2015/16 シーズン UEFA チャンピオンズリーグの初戦はユベントスが 1-2 で逆転勝ちを収めました。
この試合に先発した両チームのメンバーとフォーメーションは次のとおりです。
Manchester City [4-2-3-1] |
Juventus [4-3-3] |
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GK | 1: ハート | 1: ブッフォン |
DF | 3: サニャ 4: コンパニ 20: マンガラ 11: コラロフ |
26: リヒトシュタイナー 19: ボヌッチ 3: キエッリーニ 33: エヴラ |
MF | 42: ヤヤ・トゥレ 25: フェルナンジーニョ 8: ナスリ 21: ダビド・シルバ 7: スターリング |
27: ストゥラーロ 11: エルナネス 10: ポグバ |
FW | 14: ボニー | 16: クアドラード 17: マンジュキッチ 9: モラタ |
シティは予想通り、4-2-3-1 を選択。リーグ戦が好調であるだけにフル出場が難しいアグエロ以外はベストメンバーが名を連ねました。
一方のユベントスは思い切って 4-3-3 を選択し、クアドラードを右ウィングで起用する決断を下しました。中央部分の守備が強固であり、スターリング選手とコラロフ選手のコンビネーションを防ぐという意味でも良い決断だったと言えるでしょう。守備で 4DF - 5MF のブロックを敷いたことは評価のポイントです。
試合は立ち上がりに、ストゥラーロ選手がフェルナンジーニョ選手からのタックルでボールロストし、ショートカウンターを受け、ブッフォン選手のビッグセーブで何とか持ちこたえる展開でスタート。
ボニー選手にボールキープをさせなかったことでシルバ選手をゴールから遠ざけることに成功し、また、シティのストロングポイントである左サイドからの崩しはクアドラード選手が WB の位置まで下がり、SB のリヒトシュタイナー選手とのコンビで攻撃を限定させていました。
ゲームが動いたのは後半。シティが獲得した CK をコンパニ選手に乗っかかられたキエッリーニ選手にボールが当たりゴールへ。中継で追加副審が何度も映し出されていたことからファールだったと言えるでしょう。
ビハインドを負ったユベントスですが、この試合では前半から効果的だったファーサイドへのアーリークロスが得点に結びつきます。70分にはマンジュキッチ選手がクロスを足先に当て同点ゴールを決め、そして81分にはクロスのこぼれ球を拾ったモラタ選手が決勝ゴールを叩き込むことに成功しました。
この試合に出場したユベントスの選手・監督への採点は以下のとおりです。
GK: ブッフォン 7.0
開始1分にスターリングのオープニングショットを防ぎ、シルバの詰めもセーブした。“スーペル・ジジ” が君臨していた試合だった。
DF: リヒトシュタイナー 5.5
スターリングにやや手を焼くも、プレミアで猛威を振るっている攻撃を鎮火させた功績は大きい。クアドラードとスムーズに役割を入れ替えれるかが今後の鍵と言える。
DF: ボヌッチ 5.5
ボニーが力んでくれたおかげで事なきを得た。大きなミスもなく、まずますの出来であった。
DF: キエッリーニ 6.5
シティの攻撃の歯車を壊した張本人。ボニーを機能不全に陥らせたことで、シルバの中央突破を断念させた功績は大きい。あの OG でキエッリーニを責める人はいないだろう。
DF: エヴラ 6.0
元ユナイテッドのキャプテンはナスリ、サニャといった代表のチームメイトを黙らせることに成功した。攻め上がりのタイミングやタックルの精度は素晴らしい相変わらず素晴らしい。
MF: ストゥラーロ 5.5
絶好調のフェルナンジーニョに自陣内で(ファールのようだったが)ボールを奪われたことは要改善点だ。しかし、持ち前の『走力』やファールをせず相手に食いつく姿勢は大いに評価されるべき内容でもあった。
MF: エルナネス 6.0
技術があり、両足が使えるという魅力が存分に発揮されていた。トゥレやフェルナンジーニョの網にかからないようボールを散らした判断は良かった。
MF: ポグバ 6.5
ようやく彼本来のダイナミックさが戻って来た。(モラタのオフサイドで取り消された)ダイビングヘッドなど、状況判断も昨シーズンの水準に戻りつつある。FW陣が作ったスペースからミドルを枠内に飛ばせるかが復調のバロメーターとなるだろう。
FW: クアドラード 6.5
GK が飛び出せない場所に高速クロスを提供し、シティDF陣に落ち着きを与えなかった。また、背後のスペースへのケアも怠らず、サイドからの崩しをブロックする壁の役割も十分に果していた。
FW: マンジュキッチ 7.0
「献身性がようやく報われた」という一言に尽きる。自陣のタッチライン沿いまでボールを追っていたのだから、貢献度は計り知れない。
FW: モラタ 6.5
オタメンディからのプレゼントとも言うべき絶好機を逃さず、FWとしての役割を果した。元々、サイドに流れる傾向の強い CF であるだけに左ウィングの位置をスタートにしても良いかもしれない。
【交代選手】
FW: ディバラ ー
足を釣ったマンジュキッチと交代でチャンピオンズリーグ初出場。3トップの CF として周囲との連携は確立できておらず、得点機会が訪れることはなかった。
DF: バルザーリ ー
逃げ切りを計るためにモラタと交代で出場。試合最終盤で縦パスをスライディングカットするなど、求められた役割を確実にこなした。
アッレグリ監督 6.5
UEFA に提出したメンバー表は 4-4-2 であったが、実際は 4-3-3 で、守備時は 4-5-1 という理にかなった判断だった。パススピードを上げ、ワンタッチで繋ぎ、密集から抜け出そうとする姿勢はセリエAの試合内容にも期待を持たせるものと言えるだろう。最後の仕上げも 5-4-1 と従来のやり方をアップデートさせ、チームの成熟が進みつつあることをヨーロッパの舞台で証明したことは大きい。
スコミナ主審 5.0
接触プレーが “かなり甘め” の判定基準であったことは否めない。その集大成がキエッリーニのオウンゴールと言えるだろう。得点後のリプレーで追加副審が何度も映され、様々な角度からの再生映像が流れたことがその証拠でもある。