ローマのスタディオ・オリンピコで行われたコッパ・イタリア決勝、ユベントス対ラツィオの一戦は延長前半に決まったマトリ選手のゴールでユベントスが20年ぶり通算10度目の優勝を決めました。
アッレグリ得意の 4-3-1-2 で決勝に挑むと見られていたユベントスですが、3バックを選択。対するラツィオも変則的な3バックでタイトルを狙うこととなりました。両チームのフォーメーションは下図のとおりです。
GK: ストラーリ
DF: バルザーリ、ボヌッチ、キエッリーニ
MF: リヒトシュタイナー、ビダル、ピルロ、ポグバ、エブラ
FW: テベス、ジョレンテ
ラツィオの3トップによる高速カウンターを警戒しての3バックだったのですが、両WBが下がる形で実質 5-3-2 となってしまった所に問題がありました。ラツィオが 3-4-3 で圧力をかけ続けたことにより、中盤で数的不利に陥り、有効な攻めの形を作り出せなかったことが原因だと言えるでしょう。
失点のシーンはセットプレーからでした。
ピルロとポグバがマークには入っていたのですが、上手くラドゥに付き切れずにほぼフリーの形でヘディングさせてしまう結果となりました。
ユベントスの得点はピルロのFKからの折り返しをキエッリーニがボレーで決めた得点(動画)と、同じくピルロのロングフィードから最終的にマトリが得点したもの(動画)でした。
この試合でのユベントスの選手に対する採点は次のとおりです。
GK: ストラーリ 6.5
イタリア・ダービーに引き続き、好パフォーマンスを披露することができていた。ジョルジェビッチのミドルには肝を冷やされはしたが、最後の砦として戦い続けていた。
DF: バルザーリ 6.0
試合のハイライトとなるプレーを探し出すのは難しいが、堅実な守備を120分間続けたことは合格点に十分値する。
DF: ボヌッチ 5.5
試合を通してクローゼを沈黙させたことには文句なし。しかし、得意のビルドアップ面では不用意なパスが目についたことが少し残念であった。
DF: キエッリーニ 6.5
守備は普段と変わりなかったが、キャプテンマークを巻いた試合で同点ゴールを決め、トロフィーを掲げたのだから忘れられない夜となっただろう。
WB: リヒトシュタイナー 6.0
元・ラツィオの選手ということもあり、試合への闘志が衰えるようなことはなかった。週末のナポリ戦は休養となるのでエネルギーを使い果たすまで戦い続けていたと言える。
MF: ビダル 6.0
今シーズンは得点に絡むケースが少ないことから批判されることもあるが、彼ほどチームのためにハードワークする選手は他にはいない。そのことはこの試合でもオフ・ザ・ボール時の気の利いた位置取りで示されていた。
MF: ピルロ 5.5
勝ち試合の全得点に絡んだことで批判の声を自らのパフォーマンスで抑えることができた。だが、守備面やビルドアップ時のミス、軽率なボールロストなどはめを潰れないレベルだったことも事実である。
MF: ポグバ 4.5
ユベントスデビュー当時のポグバを見ているかのようなプレーの質であった。長期離脱からの復帰してコンディションを上げている段階であったとしても、動きや内容は不十分と見なされるだろう。
WB: エヴラ 5.0
キエッリーニの同点ゴールをアシストする役割を果したが、サイドの攻防では対面するバスタの後手に回ることとなり貢献度は得ることはできなかった。
FW: テベス 6.0
違いを生み出すために走り続けていた。決勝点になったのも、マトリからこぼれたボールをテベスがシュートを打ったことから生まれたゴールである。
FW: ジョレンテ 5.5
チームが中盤で思うようなプレーができなかったこともあり、前線で孤立がちになってしまっていた。
【交代選手】
MF: ペレイラ 6.5
78分にポグバと交代で出場。独特のタッチからボールを持ち出すことなどによってチームに落ち着きを与え、攻守において存在感を示す結果となった。
FW: マトリ 7.0
84分にジョレンテと交代出場。大会との相性がよほど良いのだろう。3分後にはオフサイドで取り消されるもネットを揺らすなど得点の期待を抱かせ、97分には勝ち越しゴールを奪い、FWとして結果で価値を証明した。
WB: パドイン ー
115分にリヒトシュタイナーと交代出場。出場時間が短いため、評価の対象外。
アッレグリ監督 6.5
一発勝負の舞台であっただけにビハインドを背負うまで、劣勢を強いられている11名で試合を続けようと考えていたと思われる。後半から試合を盛り返し、80分前後から効果的な交代カードを切った采配は素晴らしいものだっと評価できるだろう。