ローマのスタディオ・オリンピコで行われたコッパ・イタリア決勝は延長戦に突入する激闘の末、モラタ選手の決勝ゴールでユベントスが2年連続11回目のタイトルを手にしました。
試合に先発した両チームの選手は以下のとおりです。
AC Milan [4-3-3] |
Juventus [3-5-2] |
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GK | 99: ドンナルンマ | 25: ネト |
DF | 96: カラブリア 17: サパタ 13: ロマニョーリ 2: デ・シリオ |
24: ルガーニ 15: バルザーリ 3: キエッリーニ |
MF | 27: クツカ 18: モントリーボ 16: ポーリ |
26: リヒトシュタイナー 18: レミナ 11: エルナネス 10: ポグバ 33: エヴラ |
FW | 10: 本田 圭佑 70: バッカ 28: ボナベントゥーラ |
17: マンジュキッチ 21: ディバラ |
ヨーロッパ行きを狙うミランは『ガゼッタ紙』が予想したシステム 4-3-3 とメンバーを選択。負傷で離脱した両SBに不安が残るだけに、戦うことができる選手をピッチに送り出し、タイトルを狙います。
対するユベントスは 3-5-2 を選択。出場停止のボヌッチ選手のポジションにはバルザーリ選手が入り、中盤はエルナネス選手をアンカーに置き、ポグバ選手とレミナ選手が両脇を固める形を採用します。
試合は失うものがないミランが前線からプレスをかける戦術が序盤から機能する。本田が起点となり、右サイドからのクロスで得点を期待させるも、シュートに正確さを欠き、GKネトを脅かすまでには至らない。
対するユベントスはボヌッチ不在の影響が大きく、最後尾からのビルドアップでリズムを生むことができない。また、先発に抜擢されたレミナが試合に入りきれず、淡白な攻撃が続き、なんと前半はシュート0本と良いところがなく終えることとなった。
後半に入り、やや修正したユベントスだったが、ミランが高い集中力を保ち続けたため、ほぼ互角の内容に押し返すことには成功する。
疲れが見え始めたミランのペースが鈍り出したことから、アッレグリ監督はクアドラードとアレックス・サンドロを投入。サイド攻撃を利用することで勝負する色合いを強める。しかし、両チームともに均衡を打ち破ることはできず、試合は延長戦へと突入する。
そして、PK戦も見えてきた延長後半についに試合が動く。
両チームともにスペースが生じていた 108 分にアッレグリ監督はエルナネスに代えて、モラタを投入し、システムを変則的な 4-2-4 にシフト。
ボランチの位置に下がったレミナがボールカットから持ち上がると、右サイドを並走するクアドラードに展開。ミラン守備陣が戻り切る前にクロスを入れると、マンジュキッチがニアに走り込んだスペースの背後に詰めていたモラタが右足ボレーでハーフバウンドに上手く合わせて、スコアを動かすことに成功した。
同点に追いつくため、反撃に出たミランは本田がエリア内で倒れるも、ロッキ主審の笛は鳴らず。試合はモラタのゴールを守りきったユベントスが 1-0 で勝利し、タイトルを手にした。
試合に出場したユベントスの選手への採点は次のとおりです。
GK: ネト 6.0
DFに当たってコースが変わったシュート以外は冷や汗の出るシーンはなかった。クリアやビルドアップで自身にボールを呼び込むなどの連携面を向上させると実力でポジション争いを起こすことができるだろう。
DF: ルガーニ 6.0
バッカやボナベントゥーラと120分を通して渡り合い、守備での成長度合いを示した。改善すべき点もあるが、それは伸びシロになるはずだ。
DF: バルザーリ 6.0
中央で “壁” として君臨し続け、クリーンシートに貢献した。ただ、ボールを散らす役割としては不十分であり、攻撃の停滞を招いた一因でもある。
DF: キエッリーニ 6.5
コンディションが懸念されたが、最後まで執念で戦い続けた。本田がエリア内で倒れた場面で激怒したシーンが象徴的である。
WB: リヒトシュタイナー 5.5
中盤MFと連携が取れていなかったこともあり、攻撃で持ち味が出せず、守備に追われる展開となってしまった。
MF: レミナ 5.5
ボール奪取力や広範囲のカバーなど持ち味が示される反面、安易なプレーを選択してピンチを招くなど試合の中で非常にムラの多い内容だった。高い集中力を保つことができるかが今後の課題となるだろう。
MF: エルナネス 5.0
ミランがプレスを上手く行ったため、パスの出し所に困る展開に陥ってしまった。両脇のスペースをミランに突かれる形になっており、アンカーに求められる守備力を免除されるだけの信用をチームから確立させることが来季のテーマとなる。
MF: ポグバ 6.0
予想通りクツカが消しに来たが、存在感を見せるなど攻守において高い貢献度を示した。ただし、孤立させられる場面が多く、ストレスを溜め込む悪循環に陥りつつあったことはマイナスである。
WB: エヴラ 5.5
序盤は本田に上手く対応していたが、カラブリアも加わると、劣勢を強いられる苦しい展開。パスやクロスに正確性を欠き、最初の交代となったのは止むを得ず。
FW: マンジュキッチ 6.0
決定機が訪れることはなかったが、ポストプレー、前線からのプレス、サイドに流れるなどの “汚れ仕事” を120分を通してサボることなく遂行し続けた。
FW: ディバラ 6.0
ポグバと同様に要注意選手として孤立させられたが、ボールを持った時は強引に突破するなど、ゴールに結びつけようと奮闘し続けた。延長前半にカウンターを受けた際にフルスプリントで自陣に戻るなどの貢献度を見逃してはならない。
【交代選手など】
WB: アレックス・サンドロ 6.5
62分にエヴラと交代で出場する。ミラン守備陣に自身の突破力を警戒させ、相手の攻撃力を削ぐことに大きく貢献した。
WB: クアドラード 7.0
リヒトシュタイナーと交代で75分から出場機会を得る。デ・シリオの攻撃参加を警戒し、延長戦に入ってからはクロスなどで好機を演出した。決勝点のアシストを行うなど貢献度は高い。
FW: モラタ 7.5
最後の交代選手として108分にエルナネスと代わり、ピッチに入る。左ワイドの位置に入ったが、2分後にクアドラードからのクロスをファーサイドに詰め、ファーストタッチで決勝ゴールをあげることに成功した。
アッレグリ監督 6.5
一発勝負ということもあり、守備を重視した先発メンバーを選び、試合に臨んだ。劣勢に耐え、攻撃に比重を移すタイミングを見誤らず、延長戦で勝負を決めるという采配が功を奏することとなった。
ロッキ主審 6.0
ミラスニタからすれば、本田が倒されたシーンはPKだったと主張するだろう。もし、あれがPKであるなら、前半にポグバがカラブリアに倒されたシーンもPKとなっていなければならない。主審が主役とならず、良いジャッジをしていたと評価できる。